ちとせあめ

なごみ(@higuumi753)07th expansion様の作品について、長文になりがちな考察をメインにアップしていきます。新規情報の追加や新たな視点からの考察の結果記事同士が多少矛盾することもあるかと思いますがお目溢し頂ければ幸いです。

補足:なく頃に第三主人公とひぐらし卒

以前の記事において、なく頃にシリーズの根幹をなしている「三人の主人公」について述べた。

なく頃には「主人公チーム」 - ちとせあめ (hatenablog.com)

なく頃にシリーズの第二主人公について - ちとせあめ (hatenablog.com)

これらの解釈の第一・第二主人公についての解釈は現在でも耐えうるものと考えている。しかし、2021年7月現在、第三主人公については少し考えを改めている。卒の放送を前に、第三主人公について捉えなおしたい。

下記は「三人の主人公」のうち第一・第二主人公についての解釈をひぐらし業に当てはめて考えた記事である。

 ひぐらし業:今後の梨花と沙都子 - ちとせあめ (hatenablog.com)

 

過去3件の記事において、私は古手梨花ひぐらしでは「第三主人公」、ひぐらし業では「第一主人公」に該当すると述べた。ところが過去の記事において、第三主人公の記述は

“第三主人公に求められる資質は、「俯瞰性」と「ど根性」である。俯瞰のポジションから客観的で冷静な視点を持つことが求められる。状況の大幅な改善の機会を得られ真の意味での救いを掴み取ることが可能だが、最も長期で苦しみを抱えることにもなりがちである。梨花は圭一とレナの和解の過程をみてループへの希望を新たに見出し、縁寿は戦人とベアトからの最終ゲームを経て自らの手で自らを救う白き魔女として完全に覚醒した。”

と記述している。「俯瞰性」と「ど根性」が求められるという記述については、冷静な立場を採ることの多い第二主人公と熱血な立場を採ることの多い第一主人公の中間……という印象であった。

しかし、ひぐらし業を見て、一つの疑念に至った。かつて第三主人公であった古手梨花が現在第一主人公として機能しているのであれば、第三主人公の本質は冷静さよりも熱血寄りということになるのではないか?

 

過去の記事において、第一主人公と第二主人公の違いは「危機的状況において養育者にしっかり受け止めて貰えた経験の有無」によるものであると述べた。つまり、幼少期における周囲との対人関係がより良好なほうが第一主人公に該当する。これを考えてみると、第三主人公の生い立ちはどちらかといえば第一主人公寄りなのである。

梨花は仲が良好でなかった母親でも娘の身を案じており父親も善良であった。縁寿は6歳まで(戦人・ベアトと同じ)私生児という出自ながらそれを負い目に感じずに済む育てられかたをしていた。ギュンヒルドはまだ不明瞭な部分も多いものの、打ち明け話をする友達がいて趣味の社交範囲も広い。

  • 皆殺し編は、梨花が第一主人公である圭一のサポートを受けて自らにとっての「理解し合うべき相手」である沙都子を助ける話である。祭囃し編を経て直面していた命の危機を無事に乗り越えた梨花は、ひぐらし本編の多くの場面における梨花よりも自己肯定感を身に着けていることであろう。
  • EP8では、縁寿が第一主人公である戦人の物語を読んで「親族には悪いところだけでなく愛すべきところもあった」と思い出すことができ、未来への道を切り開いていった話である。そしてLastnoteにおいても、縁寿は戦人に似て熱しやすい部分があると明言されていた

第三主人公の本質は第一主人公寄りである。ところが、第一主人公のように「第二主人公が直面している危機を解決するための特殊な力」を持っているわけでもなく、抱えている困難の質が第二主人公とはまったく異なる。第一主人公と第三主人公は基本的にうまくやれるが、第三主人公は第二主人公の立場に理解を示しづらい。レナの発症に直面した梨花は疑心暗鬼をかえって煽ってしまい、ベアトの魔法を縁寿はなかなか受け入れることができず、ジェイデンが連絡を遮断している状況においてギュンヒルドはどうせただのミスだろうと完全に思い込み常時あなどっている。育った環境の前提が異なる上に、自分が同じような危機に直面した経験もないので、二人だけだとうまくまとまらないのだ。

なく頃にシリーズとは、「第一主人公と第二主人公という似たところのある他者同士が分かり合う話」であり、「第一主人公の力を借りて第三主人公が成功をつかみ取るまでのサクセスストーリー」といえるのかもしれない。

 

ひぐらし業・卒で、第一主人公が梨花、第二主人公が沙都子であるとするなら、第三主人公に該当する人物もいるのだろうか?

前作の第三主人公が第一主人公に替わったのなら、シンプルに考えれば、第三主人公は前作で第一主人公だった圭一だろうか。竜騎士07氏は以前、配信において「圭一の恋も書きたいが業では書く尺がない」と言っていた。業と卒においては梨花と沙都子という二人の関係性の変化が描写されている。今晩から始まる卒ではもしかしたら、圭一が梨花と沙都子のやりとりを通して既存の関係性を変化させようと決心することがあるのかもしれない。