ちとせあめ

なごみ(@higuumi753)07th expansion様の作品について、長文になりがちな考察をメインにアップしていきます。新規情報の追加や新たな視点からの考察の結果記事同士が多少矛盾することもあるかと思いますがお目溢し頂ければ幸いです。

ひぐらし業:鬼騙し編のレナ

ひぐらし業4話を視聴した。
ショッキングな展開に対して、Twitterで話題になっていたのは以下のような点だった。
「レナにしては殺しのやり口が手ぬるすぎる」
「圭一の生命力強靭すぎ」
「事件現場では圭一は頭部をケガしていないが入院中の圭一は頭部に包帯がある。実は圭一が刃物を持っていて、時計で抵抗したのはレナなのでは?」
「レナしか観測者がいない状態でお重の中身が晒されているからあの重箱の中身自体は事実なのでは」
※カーテン越しに圭一がレナに話しかけているシーンでは、圭一はレナに対して疑心暗鬼を抱いていない。圭一の雛見沢症候群の発症による誤認として説明するのは無理がある。
「死体をバラしたり保管するための器具しかない、凶器は持ってきていない」
また、殺害が理由であれば圭一の意識があるうちに死体解体キットをわざわざ開封するのもおかしな話である。

 

先日の記事

で主張したように、現在「鬼騙し編の竜宮レナ前原圭一と同様、別のカケラの記憶がフラッシュバックしていた」という説を採用している。この説を発展させて思い浮かんだ仮説なのだが。

鬼騙し編の竜宮レナは、過去の記憶のフラッシュバックも手伝って「圭一が死体を隠していると思い込んでしまい手伝おうとしていたのではないか?

「圭一くん――この前ゴミの山で何か隠したよね?」
「圭一くん――今日車の中で話をしてたよね? 知らないおじさんと。誰? あのおじさん」
「レナは頑張ったよ!? すごいすごい頑張り物語だったよ!? ……ね? 圭一くんに嘘や隠し事があるように――レナにだってあるんだよ?」

頑張り物語という言葉は明らかに罪滅し編を想起させるものである。
「このカケラのレナは既に裏山で間宮リナを殺害しており、圭一がその証拠を持っていると誤認している。そして刑事の追跡を避けている」という仮定が一見可能である。しかし、自らの犯行の証拠を掴んでいるかもしれないと疑っている相手に対して「圭一くんに嘘や隠し事があるようにレナにだってある」と主張することは、やや合理性を欠いている

「レナは圭一が人を殺してしまっていると思い込んでいる」という仮定に基づいたらどうだろうか。上記3つの台詞はつまり、こう解釈することも可能なように思う。

圭一くん、この前ゴミの山で死体を隠したよね?
圭一くん、刑事の人と話してたよね? もしかして疑われて困ってるんじゃない?
レナも前に(別のカケラで)どうしようもなく追い詰められて人を殺してしまったことがあったよ

つまり、「もしもどうしようもない理由で人を殺してしまって困っているなら自分を頼って欲しい」というメッセージである。

しかし圭一はどんどん追い詰められ体調を崩して学校にも顔を出さなくなっていく。レナは自分が恐怖を与えていることなどつゆ知らず、「圭一くんがどんどん追い詰められてるどうしよう」と心配で心配でたまらなくなる。

そこに圭一の母親から、食事の世話を頼まれた。父母の不在によりまるまる一晩使うことができる。絶好の機会だと考え、圭一ではなく周囲の目を盗めるように死体処理のための道具を重箱いっぱいに詰め込んで運搬する。ちゃんと道具が整っていることを伝えるために、重箱の中身をきっちりと開封していく。そのタイミングで圭一がレナの様子を見て、ギリギリのところで踏みとどまっていた雛見沢症候群の症状が一気に悪化。幻覚・幻聴により「レナはやっぱり自分を殺そうとしているんだ」と思い込んでしまう

鬼騙し編のレナが人を殺してしまっている(自分自身の誤認含む)のであれば「今年のオヤシロ様の祟りは圭一を殺して自分が消えてこれで成立」という言動も矛盾する。人を殺していないのであれば圭一を殺す動機も希薄になる。

なお、レナの父親の事情に関しても、「圭一の知りえない情報」とは断言できない。散々鬼隠し編でレナを殺した時の感触を思い出したように、強い疑心暗鬼にかられた結果罪滅し編でのレナの事情を断片的に連想してしまい「レナは父親が理由で人を殺す可能性がある」という最悪な連想をしてしまったとしてもおかしくはないのだから。

 

今後圭一はどうすればよいのか?

鬼騙し編の圭一は、疑心暗鬼を払拭しようと瀬戸際まで試みていた。そういった意味で明らかに鬼隠し編の圭一とは異なる。しかし、罪滅し編の圭一ほどしっかり対応できていたとは言い難い。
ひぐらしはそもそも「困った時は誰かに相談しよう、ちゃんと話し合おう」というメッセージ性が強く込められた作品である。ところが鬼騙し編の圭一は、梨花の「間違っているのは圭一自身の主観だ」という言葉を単純に信じ、レナ相手に「全部自分の誤解だった、悪いことをした」と一方的に伝えた。疑心暗鬼は思い込みで生じるが、妄信もまた思い込みである。レナの言動に違和感があるならばそのことをしっかり伝えて話し合うべきだったのではないだろうか? 仲間として信頼しているのであればなおさらである。

 

綿騙し編以降の展開を楽しみにしていきたい。