ちとせあめ

なごみ(@higuumi753)07th expansion様の作品について、長文になりがちな考察をメインにアップしていきます。新規情報の追加や新たな視点からの考察の結果記事同士が多少矛盾することもあるかと思いますがお目溢し頂ければ幸いです。

キコニア:フラグメントの重要性

フラグメント。キコニアPhase1本編をプレイし終わると解放される要素である。

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一見すると小話詰め合わせのような内容ながら、本編で語られなかった世界観設定に関する情報がいくつも出てくる。読了後真っ先に浮かんだ疑問はこれであった。

内容的に途中で開放されても良いものもあったのにどうして最後までプレイしないと全て開放されないのだろう。一見ひぐらしでいう追加Tipsのようなエピソードに見えたが、ひょっとして作中の意味づけ的にはうみねこのTeaPartyに近く、ゲーム盤終了後に開放されることに意味があるのではないだろうか?

 

そもそも前記事通り、キコニアのGMはプレイヤーを想定してない。だから本編ではヒントをくれないのである。

https://nagomi753wtc.hatenablog.com/entry/2019/12/28/103757

ゲームの説明どおり「駒の喜怒哀楽が観たい」それが「Phase1のGMであるジェイデン」の望み。メッセージを誰かに伝えることなんて望んでいないのでゲーム盤上ではわかりやすくヒントを提示しない、謎もくれない。うみねこのTeaPartyではGMによる大ヒント祭だったが、キコニアのフラグメントは逆に「GMの目を逃れてかき集めたデータの集まり」

正史で「駒」同然に消費されそうになったGMが、自分達の(主にたぶん「都雄の」)いなくなった後の世界を来させないために何度もシミュレーターを繰り返している。 奇しくも軍旗祭直前に都雄が言っていた「俺の写真でも壁に貼って一人でバトルしてろ」の状態。つまりあれは主人公によるあざやかなGMの地雷踏み行為である。

 

ひぐらしで言うと「羽入が犯人が分かってる状態だけど梨花の生きてる時間を少しでも拡張したくて惨劇が回避できないと分かっていながらひたすらカケラを飛び歩いてる」みたいなそんな状態。 うみねこと同じく「主人公が大好きなGMが一緒に遊びたくてやっている」ことだがそこにプレイヤーは想定していない。うみねこGMは煉獄山の頂点で千年待っていたが、キコニアのGMは地獄の深層コキュートスに千年引きこもるつもり満々。根暗オタクという発言がもう全然笑えない……。

OP後の映像で「都雄ちゃんの望んだ世界だぜ」と言っている対象は恐らく現世の都雄だろうが、既に何周かしていそうな雰囲気のなか今更「どうして拒むんだ」って言ってるってことは、ジェイデンはことが起こってしまってからは都雄とはこれまでずっと会話も出来てなかったんじゃないだろうか? 生きてるという確証を持てていたかさえ不明である。
ちなみに「都雄ちゃんの望んだ世界」とは、フラグメントで出てくるエナジーバーのVRであろう。シミュレーターを強奪したGM大事な相棒が一番幸せを感じられる「みんなで一緒にガントレットナイトとして飛び回っていた」ころの時間をループすることに決めた。なんでわざわざこんな《地獄》の時間を再生してるのかって、ジェイデンはフラグメントで見た通り、VRを作る才能がない。世界規模の大きなシミュレーターを作るとなると過去のデータを使うしかなかったんだろう。

 

人物像、OPの歌詞的、構造、フラグメントで提示されている情報を総合した結果、現時点ではこのような仮説を立てている。